- 制作:あっぷりけ -妹-
- プレイ時間の目安:20~30時間
- 総合評価:★★★★☆
▼ 目次
フェイクアズール・アーコロジーのコンセプト・概要
500年前の隕石災害により地球上には人が住めない環境となった。
そこで人々は複数の”アーコロジー”という閉鎖都市を作り地球環境が改善するまでアーコロジー内部で生活しているという世界設定です。
この作品はその中でも他のアーコロジーと繋がりのない”天原アーコロジー”を舞台とした物語。
主人公・日高千尋はフライト(戦闘機を使ったレースの様なもの)の選手をしていたが師匠でありフライトのチャンピオン・織倉錬児の事故死により大きなトラウマを抱え数年前にドロップアウト。
そこに突然アーコロジーの”外”からやってきた少女レティ。
彼女によって物語は動き出します。
フェイクアズール・アーコロジーの特徴・売りにしてる部分
主人公・日高千尋の成長、復活と天原アーコロジーの謎、外から来た少女レティといったものが主に物語を牽引していく要素になっています。
加えて、フライトに使用される戦闘機のグラフィックも凝っていて細かい仕様の設定まで作り込まれているのもいいですね。
個人的には、師匠と弟子の尊敬はしているがいつかは肩を並べ、そして越えたいと思う関係性。
しかし、師匠の事故死により目標を失ってしまった主人公がどのように復活していくのか、というところが見所だと思います。
フェイクアズール・アーコロジーのシナリオについての評価
攻略ヒロイン毎に天原アーコロジーの謎が少しずつ解かれていく構成となっています。
例えば天原アーコロジーの為政者は”外”に興味を持つことを禁じ、”外”に行こうとする者には厳罰を科します。
事故死とされていた織倉錬児も実は”外”を目指したため事故死という扱いになっていたのです。
ヒロインの一人で錬児の娘である莉音ルートでは父・錬児が所属していたチームや家族の視点でその謎について描かれています。
レティルートでは何故”外”からやってきたのか?等ヒロイン毎に同じものを多角的視点から描いているので周回プレイも飽きることがありませんでした。
フェイクアズール・アーコロジーの面白かった点・良かった点
ともすれば重くなりすぎてしまう設定、ストーリーなのですがシリアスな場面はきっちり締め、日常パートはギャグもありそこまで重くならないようになっているのが良いですね。
そしてフライトの戦闘描写も作りこまれたグラフィックにエフェクト、音楽やSEが相まって迫力のあるものに仕上がっています。
このフライトがただの競技ではなく、物語の核心を語る上で必須なものとなっているのも上手く使っているなぁと感心させられました。
フェイクアズール・アーコロジーの不満だった点・問題点・難しかった点
シナリオの不整合が多く見られるのが残念な点です。例えばその時点では知りえない情報を既に口走っていたりします。
加えて設定の穴も多いですね。
クリア後に天原アーコロジーがどのようなアーコロジーだったのかを理解した上で再プレイをすると色々な穴が見えてしまうのです。
ネタバレを避けつつ具体例を挙げるのは難しいですが、他のアーコロジーと連絡を取ることは可能であったし、天原アーコロジーの特性を考えると、どうやったら普通に生活できるのだろう?というような疑問が沸いてしまいます。
フェイクアズール・アーコロジーの全体的な感想
全ヒロインクリア後に開放されるグランドエンディングは涙腺崩壊ものです。
師匠・織倉錬児の真実、錬児の家族や千尋に対する想い、全てを捨ててでも”外”を目指した理由。ここまでの共通、個別ルートは錬児のためにあったのではないかと思えるほど。
錬児が居なければ、”外”を目指さなければ…レティは天原アーコロジーの存在すら知らずに物語は始まってもいなかったでしょう。
そういった意味ではこの物語の主人公は日高千尋ではなく、織倉錬児なのかもしれません。