眠れぬ羊と孤独な狼

  • 制作:CLOCKUP
  • リリース日(発売日):2017年12月22日
  • プレイ時間の目安:9時間
  • 総合評価:★★★★★

コンセプト・概要

とある事件をきっかけに人を殺さなければ眠ることができなくなってしまった主人公。

ヤクザなどから殺しの仕事をもらうことで辛うじて快適な睡眠を確保し日々を生きていた彼は、ある日、自分に人殺しとは無縁の安眠をもたらしてくれる少女と出会うこととなります。

時を同じくして、主人公のいる歌舞伎町では様々な事件が発生。

それらに巻き込まれながら、最終的に二人はどういった結末を迎えるのか、というコンセプトの作品になっています。

おすすめポイント・売りにしてる部分

歌舞伎町という様々な組織が集まり陰謀が渦巻く眠らない街を舞台に、様々な事件が発生し謎が明らかになっていくというコンセプト自体、好きな人にはたまらない、魅力溢れるものとなっています。

またそれを構成する、読みやすく引きこまれてしまう非常に面白いシナリオ。

歌舞伎町の幻想的な、しかしどこか陰のあるの街の雰囲気をとてもよく表現している豊富な各種背景。

一癖も二癖もある超個性的な登場人物達、全てが魅力であり売りのゲームです。

シナリオについての評価

大きく分けて三つのルートがあり、細分化するとそれらはさらに分かれます。

どのルートも独自色が強く、分岐して以降同じ展開が起きるようなことは全くないため、飽きることなく全てのストーリーを楽しむことができます。

そのため、あるルートではほんの少ししか出番の無かった存在が別のルートでは非常に重要なキーマンをしているといった展開もあり、その違いに驚きつつ全く違ったそれぞれのシナリオを楽しむことができるでしょう。

キャラについての評価

一癖や二癖どころか、三癖も四癖もある非常に灰汁の強いキャラクターが揃っています。

外見も内面も共に個性的であるため、一度登場しただけでもその名前を憶えてしまうような存在ばかり。

そして、それらはストーリーと密接に関わっているため、時に非常に強大な存在となり、時にあっけなく表舞台から消されます。

どんな過去を持ったキャラクターがどういった事件を引き起こして、どのような死に際を迎えるのか、全ての登場人物から目が離せません。

面白かった点・良かった点

このゲームの何よりの面白さは、その短さにあると思います。

プレイ時間が何十時間もある長すぎるゲームというのは、途中で前にどんな伏線があったかなどをどうしても忘れてしまいがちです。

しかし、このゲームは読み進めるうちに現れた様々な謎を、連続して起こる事件により怒涛の勢いで一気に解明することとなります。

そのため、必要な情報が頭から消える前に、シナリオを非常に良いテンポで読み進めることができてしまうのです。

またもっと単純に、まとまった時間があまりとれない場合でもそれほど長い作品ではないため気軽に楽しめるといった点もあります。

不満だった点・難しかった点・改善して欲しい点

短さが良い点だと上で書いたのですが、やはりその短さのせいで雑に処理されてしまうキャラクターが居るのは少し残念です。

このシナリオライターさんの癖であり、非常に緩急のついたストーリーとなるため、改善して欲しいとも思わないのですが、あまりにも魅力的な登場人物ばかりであるために、それらがあっけなく舞台から退場していってしまうのはどうしても惜しく感じてしまいます。

もう少しでいいので各サブキャラに見せ場が欲しい、とはプレイして誰もが思ってしまう点です。

全体的な感想

歌舞伎町を舞台に様々なキャラクターが入り乱れ事件と陰謀が巻き起こる、ありそうで無かった非常に面白いゲームです。

シナリオがダメ、キャラクターの絵がダメ、CGの少なさがダメといった何かが欠けている、足りないというものが無く、全てが高いレベルで揃った質の高いゲームとして多くの人に強くお勧めすることが可能です。

最後には声優陣や製作スタッフからのコメントもあり、ゲームが終わっても楽しませてくれる嬉しい作品となっています。